女房とは、人里離れた片田舎の屋敷で出会った。
結構大きなその屋敷に身よりもなく一人で住んでいたという。
透き通るような白い肌。高貴ささえ感じられる凛(りん)とした姿に
一目惚れだった。フラフラ気ままな旅暮らしだった私は、
転がり込むようにその屋敷に居つき、気がつけば子供までできていた。
女房と私のいいところを足して割ったようなとってもかわいい娘だ。
八重歯なんか、そっくりそのまま二人から受け継いだんだろう。
従順でよく気がつく気だてのいい女房で、いつも身綺麗にしているのだが、
私の前では化粧をしている姿を見せない。
昼間もずっと家にいるようだ。ただ、時々夜に家を抜け出しているみたいだ。
特に満月の夜は明け方前まで帰ってこない。
まぁ、それは私にとって好都合でもあるのだが。
それ以外はなんの問題もないいい女房だ。文句はない。
ただ、娘のことを思うと少し不憫(ふびん)な気もする。
こんなに綺麗に生まれてきたのに、
太陽の下を駆け回ることも
満月の下で恋を語ることもできないなんて。
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imikowa88
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男性
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