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過去に作った”意味が分かると怖い話”を 淡々と保存していきます。 解説を読みたい場合は、[more]を クリックしてください。
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終電車の中で眠ってしまい目を覚ますと、見知らぬ女性が俺の肩に頭を乗せて、
もたれかかるように眠っていた。
見ると黒髪ロングでかなりかわいい。貞子とかの不気味な黒髪じゃなく、綺麗な感じ。
正直言って悪い気はしなかったので、しばらくそのまま乗っていた。
俺の降りる駅はまだ先なのでこのままで大丈夫だろう。
二駅、三駅と過ぎ車両には俺と、俺にもたれて寝ている女性の二人だけになった。
彼女はどこで降りるんだろう、起こしてあげた方がいいかな……
そう思った俺が体を動かしかけると、
 
「動かないで……」
 
と、目を閉じ、頭を肩に乗せたまま彼女は言った。
さらに続けて、
 
「もう少しこのままでいたいな……」って。
初対面の人に言われて不気味だったけど、女の子にそんなこと言われて
理由を聞くほど俺は野暮じゃない。黙って肩を貸してやった。
でも、さすがに自分の降りる駅が近づくと心配になってきてさ、
とりあえず「どの駅で降りるの?」と聞いてみた。
すると「落ちる駅?」と返してくる。
「違うよ、落ちる駅じゃなくて降りる駅」
「降りる駅が落ちる駅だよ」
また意味不明な答え。
さらに彼女は「貴方の降りる駅が、私の落ちる駅」と続けた。
 
ひょっとして、自殺でもするんじゃないかと思ってさ。
この娘は俺の降りた駅で、飛び降り自殺をするんじゃないだろうか?
 
どうしても気になったので、彼女に「落ちちゃいけないよ」と言ってみた。
すると彼女は「貴方が降りたら私は落ちる」と脅迫めいたことを言ってくる。
仕方がないので「じゃあ降りないよ」と言ってあげた。
彼女は嬉しそうに、「ありがとう、約束だよ……やぶったら貴方も落ちてね?」と言う。
 
この言葉に俺はゾッとしたが、今は彼女を落ち着かせることが優先だ。
自殺を食い止めたい一心で、俺は「わかった、約束するよ」と言った。
 
そのとき、電車が揺れた。
 
そして彼女の方を見た俺は、彼女の不可解な言動のすべてを理解した。
しかしもう遅い。
 
俺が降りたら彼女は落ちる、そして俺もまた落ちるのだから。 
 
 

拍手[3回]


 
(解説)
電車が揺れたときに、「俺」は気づいてしまった。彼女の首が体から分離して
いることを。彼女がこの世のものでないことに気づいた「俺」は、この世のもの
でない者との「約束」が大きな意味を持ってくることに気づいてしまったのだ。
「俺」の首も当然落ちる。彼女と同様に…。
貞子云々は彼女が幽霊というオチの布石だったつもりである。
ネット上では、二人が恋に落ちるという解釈もあるようだ。
 
蛇足だが、2ちゃんねる・オカルト板「死ぬほど洒落にならない怖い話を集めてみない
スレ」に書き込んだ覚えがあるが、意味不明すぎて、いつの間にか意味怖コピペに
なっていたようである。
また、筒井康隆氏の影響を強く受けていると指摘している方がいたが、恥ずかしながら
筒井氏の小説は読んだことがない。同様に星新一氏からの引用が指摘されることが
あるが、星新一氏の作品も読んだことがないし、引用するならきちんと作品名と
引用元を書く。
私は小説自体あまり読まない。
 
元になった話は、私の実体験である。もちろん、私の首はつながっている。
 
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