その日はよく晴れた日だった。
午後4時半、学校から帰って来た俺は居間でTVゲームをし、
午後7時、家族で夕飯を食べた。
だが母親の様子がどこかおかしい・・・
いつも明るい母がまるで『得体の知れない何か』に取り憑(つ)かれたように静かなのだ。
俺は夕飯を食べ終え、違和感を覚えながらも宿題をしようと自分の部屋へ行った。
部屋に入った瞬間、更に『形容し難い何か』を感じ取った。
しかし今日の宿題だけは絶対にやらなければならない。不安を感じながらも
それに専念した。
そして午後11時、宿題も終わり、そろそろ寝ようと思い、ベッドに入った。
その瞬間なにか奇妙なものを感じた。普段『あるもの』が足りないような感覚だ。
しかしそれが何か理解できず、どうしようもない恐怖や不安が俺を襲(おそ)う。
そして更に足首になにか虫のようなものが這(は)っているような感覚がした・・・
驚きのあまり布団から飛び出した俺は、その『這っている何か』を振り払った。
それは今まで見たこともないくらい巨大な女郎蜘蛛(じょろうぐも)だった。
俺はもう限界だと思い、居間にいる父親と母親に相談した。
父親は「男なんだから蜘蛛ぐらいでビビってんじゃねぇ!!」と怒鳴り散らす。
そして母親は「・・・今日・・・天気よかったでしょ?・・・だから布団を干したのよ、
その時にでもひっついたのかしらね・・・」と口を開いた。
あきらかに様子がおかしい。俺の知っている母さんじゃない・・・。
何かに取り憑かれ、みんなが寝静まってから、父や俺を
殺そうとしているんじゃないか。と、普段考えもしないような妄想が膨らむ。
そして「・・・はやく寝なさい」と母が言った。俺は何も言わずに自分の部屋に戻り
恐る恐る巨大な女郎蜘蛛を退治し、もしも『何か』に襲われた時のためと、
護身用のナイフを枕元に置いておこうと思った。引き出しを開けた。
そこには普段ある筈(はず)がないものがあった・・・。
・・・なぜこの本がこんなところに・・・・・・・・・。
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