忍者ブログ
過去に作った”意味が分かると怖い話”を 淡々と保存していきます。 解説を読みたい場合は、[more]を クリックしてください。
[92]  [91]  [90]  [89]  [88]  [87]  [86]  [85]  [84]  [83]  [82
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

俺の職業は精神科医なんだが、この前ゾッとするようなケースに遭遇した。
 
俺の家の隣に、60代の夫婦と30歳ぐらいのその息子の三人家族が
引越して来た。息子はいわゆる引きこもりらしく、その姿を見かけること
はあまりなかった。まー、その家族の口からは聞けないが、 そういう
世間体とか気にして越して来たんだろう。
 
その息子は日が経つにつれ、外に出る回数も減り、 いつしか全く部屋から出て来ない。
完全な引きこもりになってしまった。
毎晩のように、息子の部屋から母親の怒鳴り声が聞こえる。
玄関先で母親に顔合わせたりすると、 笑顔で挨拶してくれるが、
明らかにやつれて来ていた。
隣の息子を見なくなってから、半年くらい経ったある日、隣の父親が
「明日家の方に来て欲しい」とお願いしてきた。
個人宅に訪問して診察したことはなかったが、 近所付き合いもあったし、了承した。
そして次の日、その家を訪れると夫婦揃って出迎えてくれた。
「こちらです」と母親に案内され、息子の部屋の前まで来た。
母親が「開けるわよ!」とドアを開けるなり、「いつまで寝てるのよ!」と 大声を
あげながらベッドの布団を剥いだ。その姿を見たとき、俺は驚愕した。
ベッドには、顔のない裸のマネキンが1体横たわっているだけだった。
そして、父親にこう言われた。
 
「診てほしいのは、現実を受け止められない私の妻です」 
 

拍手[1回]


 
 
(解説)
母が徐々に狂っていくという話。息子も初めからいなかった、というつもりで書いた
のだが、読み返してみると記述が足りていない。よって、隣人が気づかないうちに
息子は失踪したということにしておこう。(葬儀をしていたにしては隣人が気づかない
のはおかしいので)
PR
back
COMMENT
name
title
text
color   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
mail
URL
pass
secret
PREV ←  HOME  → NEXT
プロフィール
HN:
imikowa88
性別:
男性
ブログ内検索
最新記事
最古記事
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
忍者カウンター
Copyright (C) 2024 作者のための葬送曲 All Rights Reserved.

Photo by (c)Tomo.Yun   TemplateDesign by kaie
忍者ブログ [PR]
FC2 Blog Ranking